にほんごのせんせいブログ

日本語教師の日記ブログ

文型導入の例文「Vたことがありますか」

 今週『みんなの日本語初級Ⅰ』19課を授業担当しました。

 

学習項目①は、

「富士山に登ったことがあります」

という経験を表すもの。

 

このクラス、来週は課外授業で海に遊びに行くので、

導入のトピックを『海』に決めました。

海の画像を見せながら、

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1)海へ行ったことがあります。

2)海で泳いだことがあります。

3)海で釣りをしたことがあります。

4)海で溺れたことがあります。

※「溺れた」は未習なのでイラストを見せました。

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『海』だけでも色んな動詞を使って、

色々言えるもんですね。

 

私は

1)20回、2)8回、3)3回、4)0回

と伝えると、

学生たちも「〜回あります!1度もありません!」

と答えてくれました。

 

動詞た形の変換練習や

文型の結合練習などドリルを2-3分で行ってから、

 

さあ!活動だぁ〜!!

 

 

今回盛り上がったのは、

●失恋

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●宇宙人/宇宙船

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●オバケ

f:id:memecha:20190712195000p:plainでした(笑)。

 

画像を出すだけで、色んな動詞を勝手につけて、

いろいろ言ってくれるので助かります♪

 

例えば、

●象🐘

→象に乗った
→象と遊んだ

→象を飼った

→象を食べた

 などなど…

 

さすがに「象を食べた」は想像していなかったので、

思わず笑ってしまいました。

 

 

そして、終盤に誤用訂正。

 

間違えて覚えろ!の精神です。

有難くも数名が

「きのう~たことがあります。」

など言ってくれたので、時名詞とのセットも確認。

 

 

間違える前に注意点を言われても、

場合によっては何のこっちゃかわからないんですよね。

使って、間違えて、からの誤用訂正のほうが効果絶大!

 

料理なら、何をどう作るかだけ伝えて、
調味料や味付けはお任せ!な感じですね。

どんな料理が出てくるか、毎回わくわくドキドキです♪

マイペースを邪魔するな!~モチベーションを保つための秘訣~

 1歳からの大親友を誘って、展覧会へ行ってきました♪

こちらです。

www.mori.art.museum

今年(2019年)10月までやっているそうですよ~。

 

私はゆっくり、彼女はざっくり
展示物を見て愉しむ派なので、毎回美術展へ行くときは、大体中で別行動をしています。
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 が、今回はなぜか彼女が戻ってきて、

 

私に一言

 

「まだこんなとこいるー」

 

↑コレが結構ショックだったんです。

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 理由は簡単。

自分のペースを乱されたから。

 

日本語学習だけじゃなく、勉強だけじゃなく、

仕事でも趣味でも生活でも同じ。

 

「自分のペース」を知っている人には、それを乱されることが苦痛。

思う存分集中して楽しみたいのに、させてもらえないのは苦痛。

 

 

日本に来たばかりの留学生はまだ「自分のペース」を掴んでいないかもしれないけど、最大20名1クラスの日本語学校ではそんなことは言っていられないんですよね…。

 

クラス授業に無理を感じる今日このごろ…。

もっとクラス運営を見直したくなり、こちらの本を再読しています。

クラスルーム運営 (日本語教師のためのTIPS77 第1巻)

クラスルーム運営 (日本語教師のためのTIPS77 第1巻)

 

 マイペースを保てないと、やる気も下がりますよね。

モチベーションを保つ秘訣の1つって「マイペース」なのでしょう。

今回の美術館での出来事から、それがよくよくわかりました。

 

クラス全員をそれぞれの「マイペース」で授業をするのは難しいけれども、

個別学習の時間を取ったり、「クラスペース」を作ることはできるのかもしれない。

 

どこかに解決の糸口がないかな~。

しっかり読んでみよう!

 

 

親友とは次回美術館に行くときは、あらかじめ、

「お互いにマイペースで楽しみましょー。」

と釘をさしておこうと思います♪

 

それにしても塩田千春さんの作品はすごかった…。

「たましいってどこにあるの?」がテーマの1つ。

理解したくても理解できない。

 

歯がゆい手探り感を抱きながら、愉しませてもらいました。

模擬試験の結果振り返り~分析からの学習方針修正~

ちょうど今日はJLPT(日本語能力試験)でしたね!

学生も緊張したでしょうが、こちらも本当にドキドキです。

なぜか毎回、試験開始直前は時計から目が離せません。

 

 

さて、今日のJLPT本番に向けて、どちらの学校でも模擬試験が行われたことと思いますが、

模試を行ったあと、「振り返り」を行っていますか?

 ただし、「振り返り」と言っても、試験問題の答え合わせではありません。

 

 

わたしは模擬試験の前と後に『試験分析』の時間を取っています。

何をしているかというと、

 

☑ テストの目的と得点方式を理解する。

☑ 科目別・問題別に、各自「得意・不得意」を見つけ出す。

☑ やるべき学習を考える。(苦手を克服するか、得意を育てるか)

☑ 時間配分を考える。

などです。

 

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試験結果の個別振り返りシート

学習者たちは各問題ごとに対策方法が違う、ってことを、あまり知らないんですよね。ちょっとした工夫や考え方で解答時間が短縮されたり、正答率がアップしたりすることもあるので、実感してもらうために、分析や結果シートは欠かせません!

 

中でも「時間配分を考える」は何度か模擬試験を実際の時間でやってみなければ、体感できず、想像することすら難しいので、できるだけたくさん模擬試験をやってもらっています。

 

自分で模擬試験本を購入したり、学校の教務室にある模擬試験教材を貸し出して各自で行ったり。

 

今回はN2受験の1名が模擬試験を希望し、学校の本を見ながらシートに解答を記入していきました。

 

 結果はこの上の画像のように、Excel表計算したものを渡しています。

こちらの学生さんは、前回は「漢字読み」と「表記」と読解の「統合理解」で点を落としていたので、新しく学習プログラムを組みなおして、【苦手を克服する】方面で1か月学習したところ、見事に得点を重ねることができました。

 

しかし、なぜか文法と、読解の「長文理解」と「情報検索」がガクッと下がってしまいました…。問題との相性もあると思いますが、なんでだろう…。

この結果シートを一緒に見て聞き取りしながら、彼女とラスト1週間に何をすべきかを学習プログラムを決めました。

 

<ラスト1週間の学習プログラム>

1)今までの膨大な量の学習済み教材の中から、間違えた箇所を見直す。

2)『新完全マスターN2漢字』をもう一度初めからさっと見直す。

3)『パワードリルN2文字語彙』をもう一度初めからさっとやる。

※学習者本人のやりたい学習をする、を一番に考えて決めています。

あとは健康管理をしっかりするだけ!

 

4月から始めたN2対策。

自律学習がばっちりできる彼女ならではのプログラムで進めてきましたが、試験を目の前にして、彼女からこんなことを言われました。

 

「国では大学で友達も一緒に必死に勉強していたけど、全然楽しくなかったんです。でも、今は勉強がとても楽しいんです。もっとしたいから寝る時間がもったいないんです。日本へ来て、今が一番楽しいんです!」

 

1年にたった2度の大切な試験直前の言葉とは思えず、

びっくりしてしまいました。

 

そんな彼女が今までよく口にしていたのは

「この学習をしたら、合格に近づきますか?」

という問い。私は

「はい、近づきます。」

とだけ、きっぱり答え続けてきました。

 

彼女と4月からN2対策を行って思ったのは、

日本語教師は学習者のパートナー

 

学習方向が間違っていないことを根拠と自信をもって示し、学習者の成長幅を示し、達成感や楽しさを感じさせる。そして、相談しながら学習プログラムを調整する。

 

決して「教え込む人」でも「勉強させる人」でもなく、ましてや「叱りつける人」ではあってはいけないと思っています。

 

「学習者に気づきを与える存在」をずっと目指していますが、これからもブレることなく、目標に向かってより良い『日本語学習パートナー』になっていきたいと思います。

 

多くの日本語教師のみなさま、日本語学習者のみなさま、

ひとまずJLPT終了!お疲れさまでした~!!

 

 

◆模擬試験として使用した教材 

CD2枚付 日本語能力試験 模試と対策 N2 Vol.2 Nihongo Nouryoku Shiken Moshi to Taisaku N2 Vol. 2

CD2枚付 日本語能力試験 模試と対策 N2 Vol.2 Nihongo Nouryoku Shiken Moshi to Taisaku N2 Vol. 2

 
日本語能力試験 完全模試N2 (日本語能力試験完全模試シリーズ)

日本語能力試験 完全模試N2 (日本語能力試験完全模試シリーズ)

  • 作者: 渡邉亜子,清水知子,杉山ますよ,作田奈苗,野原ゆかり,大場理恵子
  • 出版社/メーカー: ジェイ・リサーチ出版
  • 発売日: 2013/01/30
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
 
日本語能力試験 公式問題集 N2

日本語能力試験 公式問題集 N2

 

 

◆直前対策で使用した教材 

日本語パワードリル N2 文字・語彙 (「日本語能力試験」対策) Nihongo Pawaadoriru N2 Characters & Vocabulary

日本語パワードリル N2 文字・語彙 (「日本語能力試験」対策) Nihongo Pawaadoriru N2 Characters & Vocabulary

 
パターン別徹底ドリル日本語能力試験N2

パターン別徹底ドリル日本語能力試験N2

 
新完全マスター漢字 日本語能力試験N2

新完全マスター漢字 日本語能力試験N2

 

 

 

外国人には難しい緊急避難速報!~初級でもニュースを聞こう~

九州で大変な大雨になっているそうで、とても心配してます。

 

朝のニュースを見ながら、「緊急避難」という言葉と文字の難しさに、

留学生たちはわかるだろうか…いや、わからないな。

と思い、本日の授業冒頭でニュースの紹介をしました。

 

(現在、『みんなの日本語Ⅰ』17課を学習中のクラスです。)

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緊急避難

もちろん中国の学生はすぐに意味がわかるので、

他の国の学生たちに、説明をしてもらいました。

 

分からないと、大変!

ということまで、言ってくれたので助かりました。

 

すると、学生たちが自然にノートを出して、

漢字と読み方を書き取り始めました!

(かなり嬉しい…)

 

そして、

「【急】は【急ぎます】ですか?」とか、

「【難】は【難しい】の漢字です」など、

中国以外の学生たちがいい始め、

国学生が「そうです!難しいは大変のこと」

と解釈をつけてくれました。

 

 

そして、やさしいニュースを聞きますか?

と尋ねると、答えはもちろん「はい!」

 

現状を『NEWS WEB EASY』を使って知ってもらいました。 

www3.nhk.or.jp

 

まだ詳しい意味を確認することはできないレベルなので、

全体的にどんな話だったか、を確認しました。

 

「西日本」「雨」「避難」「山」「川」などの聞き取れた言葉から、

ざっくり意味の推測をしてもらい、私(教師)からいくつか質問。

 

 

最後に「緊急避難」「逃げてください」を練習して

授業時間も少ないので、残念ながら今回はここまで。

 

 

初級終わりぐらいのレベルになったら、
もう一度突っ込んだ話をしてみたいですね。

ご紹介いただきました~ブログ記事やTwitterコメント~

わたしのブログは、日本語学校で教える日本語教師としての日々の些末なことや、考えついた未熟アイディアや活動を書き連ねているものですが、人の役に立ったり、ご紹介いただけたりすると、とても嬉しくなります♪

 

最近、ブログをご紹介いただいたことを、ちょっと記録として残しておこうと思います。

 

①「冒険家メソッド」を提唱されている村上先生にご紹介いただきました

 

わたしのTwitterアカウント↓

 

紹介いただいたのは、当ブログのこちらの活動記事↓memecha.hatenablog.com

 

②『まるごと』の三修社さんの「かわら版」に私のツイートをご紹介いただきました。

 

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(庭野菜も収穫時期を迎えています♪)

 

いつも気ままに作成、気ままに更新していますが、細く長くやっていけたらと思いまーす。

私の拙い記事、Tweetを拾ってくださった皆さま、ありがとうございました。

 

 

評価とテストの在り方~個人レッスンは質問カードで学習効果チェック~

今年は本当に「梅雨らしいじめじめ~」の日々ですね。

しかし、その湿度の高さと比例して、私のワクワク感も高まっています!

 

それはなぜかというと、8月に短期留学(遊学?)のグループが数組、来るのですが、そのコース・カリキュラム組みを考えてニヤニヤが止まらないのです…♪

 

が、今、悩んでいることが1つ…

 

「修了証」を発行する予定なので、

テストを行うべきか否か。

です。

 

 

現在、担当している留学生クラスは、定期的にペーパー試験を行っています。

 

逆に、「地域の日本語教室」のプライベートレッスンの学習者には「評価」を出す必要がないため、テストをせず、こんな感じで各トピック(課)の学習効果を確認しています。
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(↑復習カード。使用教材は『まるごと入門 りかい(A1)』です。

 1日カード3-5枚ずつを、

学習者が自分で引いて、自分で読んで、さらに自分で答える!

 

結構楽しく、学習効果の確認ができています。

・ペーパーテストをやっていないので、丁度よい振り返りになる。

・以前と答えがちょっと変わっていたりして面白い。

・最初の課のカードがでたりすると、当時とは別の表現ができるようになってて、こちらが驚いたりもする。

・会話を広げられるようになってきたので楽しい♪

 

(評価につながる)テストをしない、というのはプライベートレッスンや地域の日本語教室ではいいのですが、留学生クラスともなるとそうはいかず…。成績表の提示やクラス分けをするにあたって、誰もが分かるレベル査定の方法としてテストが一番手っ取り早いのは確か。「手っ取り早い」けど「手間はかかる」…。

 

ロシア式にテストを口頭試問にして、更にしょっちゅうやっても面白いかもしれませんね。テストっぽさ激減するかもしれません!

何を測るか、何のためにやるのか、テストの意義についてはまだまだ考えていきたいと思います。

 

(蛇足)ロシアでは小学校から口頭試験が重視されているんですね。

以前に読んだ漫画『宇宙兄弟』でもありましたが、外務省の「世界の学校を見てみよう!」でもそのように記載がありましたよ。↓こちら参考までに

www.mofa.go.jp

 

たった1か月の短期留学コースだからこそ、

日本語を使って楽しめる評価方法を慎重に選びたいと思います!

 

また、このブログでご報告できれば、と思います♪

○○ごっこで会話練習~自分でスクリプトを作ろう~

結構楽しい「〇〇ごっこ」で会話練習♪

 

今回は『みんなの日本語 初級Ⅰ』の重要度NO.2と思っている14課で

ごっこ遊び」をしちゃいました。

 

会話はこちら。

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タクシーでの目的地指示ですね。

これで「タクシーごっこ」です♪

 

 学生たちがわかる新宿周辺の地図(yahoo地図)を印刷し、

目的地をペア数の分だけ設定。

(正確にはペア数+例題1つ)

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 <活動の方法>

1.動詞て形の確認(3分)

2.新しい表現の確認(5分)

  ・(どこ)までお願いします。

  ・その信号を(右/左)へ曲がってください。

  ・まっすぐ行ってください。

  ・(どこ)の前で止めてください。

  ・(いくら)のお釣りです。

3.地図を引いてスクリプト作り(3分)

  各ペア、行き先の違う地図を引いて、どうやって行くか検討。

  すぐに「新しい表現」を使って、会話スクリプトの作成です!

4.会話練習(4分)

  (早く練習が終わったペアに「お金」を作ってもらいました(笑)。)  

5.発表準備(10分)

   タクシー同様に席を作り、発表者に座ってもらい、

  運転手役にはしっかりハンドルを持ってもらいました。

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4月から教え始めてもう間もなく3か月になるクラス。

活動の進め方をよく理解してくれているので、とても楽ちんです♪

 

会話ではフリートークを重視しているので、上手な相槌や間のつなぎ方を工夫する学生もいます。運転手が勝手に回り道をしたり、お客が急がせたり、金額が高くて乗客が怒って交渉し最終的には警察に電話したり、色々やっていました!!とっても面白い♪

  

しかし、日本人でも学生がタクシーに乗ることって、そうそうないですよね…(笑)。

こちらのクラスでも13名中1名しか日本でのタクシー乗車経験はありませんでした。まあ、4月来日したばかりなので仕方ないですが。

 

活動で心がけていることは、

☑ できるだけリアルに行うこと。

☑ すべてのペアが同じ発表内容にならないこと。

☑ 学生になんでもやってもらうこと。(間違い直しなども)

☑ 時間制限をきっちり設けること。

 

発表までの時間20~30分で1活動終わるように設定しているので、まとめもしっかりできます。すべて同じ発表内容にならないから、学生たちも飽きることがなく、寝る人・ケータイで遊ぶ人は皆無!

 

もっと実践型にしていきたいので、これからフィールドワークも取り入れられればな…と算段中です。