にほんごのせんせいブログ

日本語教師の日記ブログ

留学4日目の孤独感

留学生たちは

どれほどワクワクして来日するんだろう。

どれほどの孤独感と闘っているんだろう。

 

 

私自身、留学生となった約10年前。

海外旅行は2~3回経験していたが、

住むのは初めてだった。 

 

留学1日目

成田空港へ行くまでもドキドキ。

飛行機に乗ってもドキドキ。

飛行機を降りた途端に伝わってくる異国の空気。

 

どうやって大学の寮へ行くのか、調べてはいたけど

実際にどうすればいいのか…

 

タクシーに乗り込み、下手くそな中国語で

目的地を言ったはいいものの、

「本当に着くのか?」

と自分の発音の不確かさや、運転手への疑念を抱き、

小一時間緊張し続ける。

 

やっと着いたが、広い大学内での寮探し。

寮に着いたが、手続きの言葉がわからず四苦八苦。

それでも何とか寮費を支払い、カギをもらう。

 

部屋に入り、ベッドに横になってやっと一安心…。

f:id:memecha:20180814091931j:plain

↑大学寮の部屋

なぜかベッドはすごく大きかった。

テレビは上からの吊る下げタイプで

落ちてこないか冷や冷やした。

 

 

2日目

周辺散策をしたあと、携帯電話を買いに行く。

スーパーやコンビニの場所や商品チェック!

中国語のテレビ番組を楽しむ。

 

3日目

ケトル、トイレットペーパーや歯ブラシなど
生活用品を買い出しに行く。

ちょっと勉強したり。

まだ楽しむ余裕あるが、閉鎖的な夜は長い…。

 

4日目

ふと、気がづく。

3日連続、1日の会話数が1回だけ。

スーパーのおばちゃんと

「袋いる?」「いらない」のみ…。

 

そろそろ日本語が恋しくなる。

 

その夜、「何しに来たんだろ…」

という孤独感に苛まれる。

夜が深まるにつれ

「明日すぐ帰りたい…」

とまで思うくらいに頭の中はわけのわからない

ナゾの言語に支配されて、グルグル簡体字が回り

涙が出そうになった。

 

5日目

やっと大学のガイダンスがスタート。

日本人の友達もでき、先生とも会話し、

テストや教材配布などもあり、

本格的に「留学」を味わう。

 

前夜の気持ちがウソのように消え去ったが、

あの時の痛切な孤独感は忘れられない。

 

自分が社会的最弱者になったような、

私を知る人なんてこの世にはいないような

 

 

f:id:memecha:20180814091944j:plain

↑留学2か月目くらいの寮部屋。

物が増えると、自分の居場所感も増して落ち着く♪

 

 

今思うこと。

留学生を迎える側の日本語教師という職に就いた今、

改めて「学校」という【拠り所】を

大切にしなければ、と思う。

 

自分の「ここにいる意味」を明らかにしてくれる場所

仲間と無条件に会える場所

先生という相談役に甘え、頼れる場所

 

留学生にとっては本当に【いえ】に近い場所なんだよね。

 

孤独はだれにでも、どこにでも取りつくけど、

その孤独感を大きく育てないように、

学校と先生が「どんとこーいい!!」

と両手を広げて構えていてあげればいいと思う。

 

 

たまに「国に帰れ!」と学生を叱りつける教師がいる。

ひどいっ!!と思うが、学生も悪い。

でも、学習指導ではできるだけ言わないでほしい。

 

学生がどんな気持ちで日本へ来ているか。

どれほどのつらさを抱えているか、わからないのだから。

 

勉強も仕事(特に夜勤)もやって、

本当に頭が下がる。 

 

全てのつらさを取り去ることは無理だけど、

日本留学を少しでも楽しかった、と思わせられるくらいの

心に残る教師になりたい。

 

余談

私に中国留学での孤独感は5日目以降、一度もなかった。

クラスメイト、日本人友達、先生、

行動範囲が広がったり、言葉がわかるようになったり、

色んな理由はあると思うけど、

こんな応援もあったりしたおかげだと思う。

f:id:memecha:20180814091948j:plain

↑実家からの差し入れなど。

絵は姉が描いたうちの愛犬ももぞう君。

 

 

 ちなみに、私の留学先は

上海師範大学と北京語言大学でした。

 

今思えば、どちらもサイコーに楽しかった!!