実践した単語指導の方法
今担任している日本語学校のN2クラス。
春ごろはN3語彙もままならず、
無理やり問題をたくさんやって
ぎゅうぎゅうに詰め込んで
なんとか殆どの学生がN3に合格することができた。
しかし、
「この単語、見たことがあるな~」
ぐらいのレベルなので
読解ともなると、太刀打ちできず…
本当にぎりぎりでの合格だった。
【語彙力のなさ】が浮き彫りになった2017年夏。
どうにかならないものか、と
そうがく社さんを訪ね、
1冊の本を手に取った。
それが、
『はじめての日本語能力試験 N2単語2500(ask)』
内容を吟味して、使用方法を決めて
カリキュラムに組み込んでみたところ、
学生から
「こういう本が欲しかったんです」という
嬉しい声が聞こえてきた。
この本の採用理由は、
1)単語数が多く、カテゴリー別にまとまっている。
品詞もわかりやすい。
2)翻訳がクラスの学生層にぴったりだった。
(英語・中国語・ベトナム語訳あり)
3)音声をダウンロードできる。
例文が聞ける。
→実際は使用した学生はあまりいないよう。
4)赤い下敷きで自己チェックできる
単語が赤字なので、赤い下敷きを載せて
覚えたかどうかの確認ができる。
→他の国にはないらしく、これを紹介したら
「おお~!!」という歓声が上がった。
びっくり…。ふつうだと思っていた。
(ちなみに、赤下敷きをしおりにしている学生が多い)
5)索引で言葉を調べて辞書代わりに。
学生の様子を見ていたら、そんな使い方もしていた。
でも、本があるだけではダメ。
単語を見るだけでもダメ。
やはり毎日チェックを行わなければ。
ということで、
毎日10~15個程度の単語暗記を宿題にして
翌日テストをすることにした。
やり方は簡単。準備はちょっと大変。
N2単語の授業での扱い方
1)【準備】教師がテスト問題を作っておく。
・結構大変!間違えがあっても大変!
・問題はテキストと同じ例文なので、
ルビは一切なしに。
2)単語テスト予定表を教室に貼っておく。
・学生が時間のある時に先々まで学習するため。
・番号を書いておくだけ。日にちは記入せず。
ずれる可能性もあるので。
3)毎日5分でテストを行う。
・テスト問題は10問のみ
・例文はテキストと同じもの
・穴埋めの選択問題
4)翌日分の単語・例文の確認(3分くらい)
・単語と例文の読み合わせを行う。
・意味の補足説明も行う。
5)テストは翌日返却
・とくにFBは行わない。(各自で)
・1週間ごとにテスト結果をクラスに張り出し。
→低い点数の人ががんばるようになる。
6)学期成績表に平均点を記載
・日々の努力を成績に反映したい。
ちなみに、テストフォームはこんな感じ。
学生たちに無理させないために
ゴールを卒業前の2月上旬にしていたので、
12月JLPTには全部は間に合わず。
それもわかっていたので、
とても大切な項目から行うことにした。
Chapter12「間違えやすい表現」では、
慣用句や接続表現、副詞が出てくるので、
できるだけ早く行った方がよいと思う。
それをやってから、
「読解が少しだけ読みやすくなった…かも?」
とベトナムの学生が話してくれた。
「…かも?」…って、、、う~ん。
でもそんな気持ちになったことが良いこと。
学習効果は?
確実に「ある!」と言えます。
この単語テキストで
【単語さんとお知り合いになる】
ことができたようで
完全に覚えていなくても、
次に読解や文法でその語が出た時に
ちゃんと反応することができている。
特に読解の理解力がぐっと伸びたし、
(まだまだだけど…)
1つの事をちょっとだけ
ニュアンスを変えて表現する
「日本らしい表現」
を理解し始めた。
授業中も新しい言葉がでてくると、
「~と同じ意味ですか?」
「~と反対の意味ですか?」
などの質問が劇的に増えてきた。
(ちょっと困っちゃうくらい…)
予想以上の嬉しい効果があり
本当に満足♪
ちなみに、
『N2単語2500』というタイトルだが、
最後の単語番号は「1546番」!!
初めは気づかなかったが、
こういった「これもおぼえよう!」の部分で
残り1000語近く稼いでいるらしい。
これもまた、接辞や複合動詞などが
まとまっていて理解しやすい。
人を表す接尾辞の
「〜者」「〜家」「〜士」「〜手」
を、これを参考に教えたら、
学生から「目からうろこです」
と言われた。あはは!!
どこで覚えたの~??(ワタシは教えていない)
ちなみに、一番盛り上がったのは…
Chapter6「会社で」の単語。
【ごまをする】【お世辞】
【首になる】【リストラ】
【ぐっと(辛抱する)】
朝から、Aさんがニヤニヤしながら、
「先生、今日もきれいですね~」
と言ったら、Bさん、Cさんもニヤニヤしながら、
「お世辞を言わないで!」とか、
「ごまをすっていますね」とか…
わたしを使って遊んでいる…。
最後にDさんが、
「先生、むかつきますけど、ぐっと辛抱しましょう」
だって。
わたしで遊ぶな~!!!と思いながら、
覚えてくれるなら、何でもいいか。
と思い直した。
最後に学生からの質問…
「先生、時々出てくるこの絵は、何の意味がありますか?」
私もわかりません!!
出版社に聞いてください。
うちのクラスでの成功例を見て、
他のクラスもN3を使い始めた。
英語がわからないミャンマー学生がいるので、
苦労しているようだが、順調に進んでいるそうで。
読解も文法も聴解も、まずは語彙力。
うちのクラスはあと300語ぐらい。
卒業まで頑張って続けよっと♪
全部制覇したら、パーティだね!!
良かったら、こちらも。
【シャドーイング教材の使用例】